【本】
2008年 編者:国松俊英/発行所:株式会社ポプラ社
動物に関わる仕事をしている人たち6名のお話です。
この中の1編、「動物園キリン飼育員 キリンの『孫の手』」キム・ファン著 に私は登場します。取材中、キム・ファンさんの熱意がとても伝わり、それが文章にも表れていると思います。この後、ツシマヤマネコの担当になってもキム・ファンさんにはお世話になりました。
2017年 著者:キム・ファン/発行所:くもん出版
日本にはイリオモテヤマネコという有名な野生ネコがいます。しかし、イリオモテヤマネコと同じくらい数が減っていて絶滅の危機に瀕しているツシマヤマネコという野生ネコが長崎県の対馬に生息していることをあまり多くの人は知りません。何もしないときっと絶滅してしまうであろうこの野生ネコを、なんとか絶滅させたくないという地元の方々や環境省、動物園が協力してそれぞれができることをしています。そんなツシマヤマネコの担当になった私と、絶滅させるまいとがんばっている多くの方々のお話です。
この本を残してくださったキム・ファンさんも対馬にも出向いたり、動物園の「やまねこ博覧会」でもツシマヤマネコの紙芝居をしてくださったりと、ツシマヤマネコを守ろうと努力されている方々のうちのおひとりです。
2015年 著者:片野ゆか/発行所:集英社
動物園の存在意義は娯楽施設だけだと思われていた一昔前。当たり前に「動物が快適に暮らすための取組」が取り上げれれるようになるまで、各地の動物園ではみんな工夫を凝らして動物のための飼育を目指していました。その中の一握りではありますが、4つの動物園の4つの動物の飼育現場をとりあげてもらいノンフィクションで書かれています。片野さんの取材は今でもよく覚えていますが、決して誘導するような質問などはせず、私の話だけをそのまま受け取ってくださいました。ここに出てくる“キリンのグラウンド掃除中、少女に声を掛けられたシーン”は何度読んでもその時がよみがえって涙が出ます。
私は4つあるお話の中の「キリン」に登場します。
2022年 著者:片野ゆか/絵:526/発行所:株式会社ポプラ社
2015年に発行された「動物翻訳家」のジュニア版です。これからどんな職業に就きたいか考えている若者や、動物が大好きな若者に読まれる本だと思います。でも、動物にあまり興味のない若者にもぜひ読んでもらいたいです。特に、動物園にいる動物はかわいそう…と思っている人がいたら絶対に読んでもらいたいです!動物園の飼育員は楽しいことばかりではありませんが、とても魅力的なお仕事ですよ!
まだほとんどの人が聞いたことがない「環境エンリッチメント」という言葉が日本に登場した頃から働いていた私にとって、この言葉がじわじわと浸透していっていると感じるのは、動物園の力だけではなくこのような形で多くの方々に読んでもらえる本があるからだと思っています。感謝です!
2020年 編者:京都市動物園 生き物・学び・研究センター/発行所:合同会社 小さ子社
京都市動物園の取り組みを紹介する本です。この中で私は、コラム「小さく地味な主役、イチモンジタナゴ」を書かせてもらっています。地元の希少種イチモンジタナゴの担当になった時は本当に苦労しました。京都市動物園で本格的にイチモンジタナゴの繁殖を進める初めての試み、魚の専門的な飼育はしたことがない私、魚の中でも特殊な生態をもつタナゴの飼育を教えてくれる先輩が職場にいない、繁殖させることと環境教育の普及がミッション…この中で経験のあるのは教育普及だけでした。しかし、基礎知識もなければ飼育経験もない私が教育する立場になれるわけもなく…。まずは飼育をしなければいけないという基本的なことに多くの方の助けを借りながら、てんてこまいの日々でした。でも、本当にいい経験をさせてもらいました!!
【新聞】
このキリンタイムズは122号まで続きました。また、少し詳しく書いたキリタイZも公開しています。
2017年 文:キム・ファン/掲載:毎日新聞
このお話がもとになって「ツシマヤマネコ飼育員物語」の本が誕生しました。私は登場人物だけでなく、全30回の挿絵を担当しました。この連載を読んだと、動物園に訪ねて来てくれた小学生から声を掛けられたり、お手紙をもらったりしました。新聞は、自分が興味がないものも目に入ります。この連載を見てくださった多くの方にツシマヤマネコを知ってもらうことができて嬉しいです。
【雑誌】
2013年 VJM 獣医畜産新報 vol.66
キリンの担当になって、キリンの飼育に関する資料があまりなかったことに困りました。長年担当しているうちに、これからキリンを担当する人たちのために何か残したいと思うようになりました。運よく繁殖を何度か経験させていただいたので、長期にわたって授乳行動を観察しデータを取りました。見ているといろいろなことがわかり、とてもおもしろかったです。キリンの場合、母と子はいつもべったり寄り添っていないので、そのような動物とは違う子育てや授乳をします。観察してわかったことで特に興味深かったのは、生まれてからコドモが順調に乳を飲めるようになる短期間以降、授乳のタイミングはほぼ母親のタイミングだということ(コドモが好きな時に好きなだけ飲めるわけではない)、そして離乳も母のタイミングで断乳に近いということでした。動物の観察はとてもおもしろいです!